前回のTOEICで出たworthとworthyってどうやって区別するの?

 先日の記事にエッセンスイングリッシュスクール受講生の方からコメントをいただきました。

常野先生に取り上げて頂きたい語彙がございます。
先日のTOEICにも出てきたのですがworthという単語です。
辞書で調べてみますとworth 関連の形容詞が、worthyが意味的にも大差なく書かれており、さらに
worthwhile, worthless(これは対義語ですが), worthily・・・
なんだかたくさんあって???状態です(涙)
是非!お願いします☆☆☆


 コメントをありがとうございます! 3月23日の第137回TOEIC公開テストでは、worthが正解になっていましたね。「価値がある」という意味は簡単ですが、使い方にちょっと注意が必要な単語です。
 文法書や辞書を見ると、このworthを前置詞と分類しているものと形容詞として分類しているものがあって混乱してしまいます。たとえば『ジーニアス英和辞典 第4版』では、初版では形容詞になっていましたが、現在販売されている版では前置詞として紹介されています。
 結論から言うと、前置詞として理解してしまうのが手っ取り早いと思います。worthは必ず後ろに名詞を目的語に取るからです。

worth A 「Aの価値がある」

例文を見てみましょう。

The project was worth the effort.

直訳すると「そのプロジェクトは労力をつぎ込む価値のあるものだった」というような感じですね。
 この例文、よ〜く見てみましょう。worthが前置詞として機能していることがわかるでしょうか? 前置詞とは、to / of / for / byなどのことですね。上のworthは、たとえば次の例文のtoと同じように名詞を目的語に取っていることを確認してください(「モクテキゴ」って言うとなんだか難しくなってしまいますが、要するに前置詞の後ろに置かれる名詞のことです)。

I went to the station.


The project was worth the effort.

 さあ、これがworthのルールです。worthは前置詞で、名詞を目的語に取るということを押さえておいてください(ちなみに、worthを形容詞として捉える立場にも一理あって、worthは比較変化をします。けど学習者としては とりあえず前置詞として覚えてしまった方がいいと思います)。


 これに対して、worthyとworthwhile、worthlessはノーマルな形容詞です。

worthy 「価値のある・尊敬に値する」
The money was used for a worthy cause.

この文では、worthyという形容詞がcause*1という名詞を修飾していますね。冠詞のaがworthyの前に置かれていることからも、worthyが通常の形容詞として機能していることがわかります。a pretty girlと同じ語順です。これに対して、上のworthの例文では、worth the effortという語順になってました。theという冠詞がworthの後ろにあったわけです。the worth effortのような語順は間違いです。
 worthwhileも形容詞ですが、単に価値があるというだけではなくて「時間・金・労力をかける価値がある」というニュアンスがあります。

worthwhile 「時間・金・労力をかける価値がある」
This course is worthwhile, although it is expensive.

ここでは、worthwhileは文の補語(C)になっていますね(a worthwhile experienceのように直接名詞を修飾することもできます)。ちなみにworthはこのように単独では使うことができません。前置詞だからです。前置詞とは名詞の(ことば)のことですね。

× The ring was worth.


The ring was worth $20,000.

 worthlessは「価値がない」という意味の形容詞です。

worthless 「価値がない」
Everything would be worthless without you.

もしあなたがいなかったら何ごとにも価値がなくなってしまうだろう、っていうような意味ですね。恥ずかしいセリフなので、人生で使っていいのは3回までです。


 さあ、まとめましょう。

  • worthは前置詞で、後ろに名詞を目的語に取る
  • worthy, worthwhile, worthlessはノーマルな形容詞


 っていうのをただルールとして覚えるだけではTOEICの問題は必ずしも解けるようになりません。このルールを自分で実践してみる練習が必要です。ぜひ、オリジナルの例文を作ってみてください。ちょっと難しいという方は、次の例文の単語を一部変えてみるだけでもOKです。

The advertisement was worth the expense.


Matsuzaka was a worthy opponent for Ichiro.


Pirates of the Caribbean: At World's End was a bit lengthy, but it was worthwhile.


English skills can be worthless if you don’t have anything to say.


 いかがでしょう? ぜひ、ご自分で作られた英文を、声に出して言ってみてください。目をつむりながらやるといいと思います。明日駅へ向かう途中にブツブツ言ってみるのもいいかもしれません。そうやってこれらの表現の感覚を身につけてしまえば、あとは「前置詞」とか「形容詞」とかいう文法用語は忘れてしまってOKです。TOEICでは自然に正解の選択肢が選べるようになります。
 なお、ご質問のコメントにはworthilyが含まれていますが、僕はさっき辞書を引くまで知りませんでした。-lyがついているので副詞で、「立派に」という意味だそうです。


(この他、応用的な使い方もあるのですが、とりあえず今日はここまで。またご質問があればぜひコメント欄にお願いします。)




*1:「目的」。