接頭辞un-は聴き取りづらい?
136回目のTOEIC Part 1では、unoccupiedという単語が出てきました。
The seats are unoccupied.
un-という接頭辞には、否定的なニュアンスがあります。unhappyなら「幸せではない」、unluckyなら「幸運ではない」ということですね。また、un-は動詞につけてその反対の動作を表すこともあります。unlockなら「ロックを外す→鍵を開ける」という意味。
今回の問題で登場したunoccupiedも、「使用されている」という意味のoccupiedにこのun-がついたものなので、「使用されていない」という意味になります。つまり、The seats are unoccupiedは「椅子には誰も座っていない」ということを表しているわけですね。ただ、Part 1の講評でも書いたように、この問題は知識があってもun-の部分が聴き取れたかどうかがむしろ重要だったようです。occupiedとunoccupiedでは正反対の意味になっちゃいますからね。
un-という接頭辞は、そもそも聴き取りづらいものなんでしょうか? このことを検証するために、Toni BraxtonのUnbreak My Heartを久しぶりに聴いてみました。音を出せる環境にある方は、ぜひ↓の動画を再生してみてください。
(前略)
Un-break my heart
Say you'll love me again
Un-do this hurt you caused
When you walked out the door
And walked outta my life
Un-cry these tears
I cried so many nights
Un-break my heart, my heart
(↓Unbreak My Heart収録アルバム)
Breathe Again: Toni Braxton at Her Best
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いかがですか? Un-の部分もちゃんと聴こえますよね? それなりに。
とすると、unoccupiedとoccupiedの音の区別が難しい原因は何でしょうか? 音声学の専門家ではないので自信はないのですが、やはり、Part 1の講評でも指摘したように、unoccupiedのnとoの音がつながってしまうことが大きいと思います。「ア・ン・オキュパイド」ではなくて「アノキュパイド」または「アナキュパイド」です。しかも、アクセントはoにあるので、冒頭の「ア」は大きくは発音されません。
・・・なんていう理屈はもちろんどうでもいいんです。さっそく今、声に出して「アノキュパイド」 (u-NOcuppied)と言ってみましょう。こういう時に「ネイティブスピーカーのちゃんとしたお手本を聴いてから」などと考えてしまうと、待ってるうちに人生が終わってしまいます。とりあえず声に出してしまっていいんです。そういう実体験があってこそ、ネイティブスピーカーの発音を聴いた時に「あ、このまえ練習したアレだ」とピンとくるようになります。というわけで、ハイ、どうぞ。
The seats are unoccupied.
なお、Toni BraxtonのUnbreak My Heartに出てきたun-break my heart, undo this hurt, un-cry these tearsといった表現は、unlockと同じようにイメージしていいと思います。「壊れてしまった私の心を元に戻して」「この傷(hurt)を癒して」「この涙を止めて」というような感じじゃないでしょうか。動画では交通事故がテーマになってますが、詩そのものは恋人との別れ一般の悲しみを表したものだと思います。別れた経験がないのでよくはわかりませんが・・・。