法政TOEIC講座(12月4日)フォローアップ

 法政多摩キャンパスの皆さん、こんにちは。更新が遅くなってしまい、申しわけありません。
 今回の授業では、リスニングのPart 4を扱いました。このPartでは、トークが流れる前に対応する設問をチェックしておくこと(Questions First)が大切であるということを実感していただけたでしょうか。では、今回の問題を素材として、いくつかのポイントを学んでおきましょう。

分離のof

 今回の授業では、「分離のof」という項目が出てきました。次の2つの例文を比較してください。

They stole* $5,000 from the bank.
They robbed the bank of $5,000.


(注)stoleはstealの過去形

この2つの文は、大まかに言って、「彼らは銀行から5,000ドルを盗んだ」という意味になります。stealが「気づかれないように盗む」というニュアンスを持っているのに対して、robは「力ずくで奪う」という意味を含んでいます。でも、学習者にとって大切なのはそのような細かいニュアンスの違いではありません。語法的に、この2つの表現にはどのような違いがあるでしょうか?
 大切なのは、前置詞との組み合わせと語順です。

steal <物・金> from <人・団体>
rob <人・団体> of <物・金>

では、さきほどの例文でこのルールが守られていることを確認しましょう。

They stole $5,000 from the bank.
They robbed the bank of $5,000.

名詞の置かれている順番や前置詞があっていることを確認してください。
 このような語法をしっかり押さえていないと、間違った英文を書いてしまうことになります。特にrobは学習者がミスを犯しがちですので注意してください。たとえば、次の英文は誤りですよね。

×They robbed $5,000 of the bank.

 ではここで、robと同じように、ofという前置詞とセットで用いられる動詞をチェックしていきましょう。

rob A of B  「AからBを(力ずくで)奪う」
clear A of B 「AからB(じゃまなもの)を取り除く」
cure A of B  「AのB(病気)を治す」
relieve A of B 「AからB(苦痛・心配など)を取り除く」

これらの動詞を、「AからB」といったような日本語訳で覚えこもうとしても、いざというときに混乱するだけです。そうではなくて、賢くポイントを押さえてしまいましょう。
 このような動詞と共に使われるofは「分離」を表していると考えられます。「分離」って言っちゃうと難しく聞こえてしまうんですが、要するに、もともと一つだったものが離れていくことを表しているわけですね。つまり、引き算です。英文を読んでいく時に、これらの動詞に続けてofが出てきたら、これを日本語訳しようとするのではなくて、引き算のマイナス記号()として処理しましょう。
 では、実際に例文を見ていきましょう。

They robbed the bank of $5,000.
.............................(-)........

はい、ここでは銀行に元々お金があったわけですね。そこから$5,000引き算をした、と考えることができます。bank (-) $5,000と考えられるわけですね。
 では、以下にその他の動詞の例文を示しますので、ofをマイナス記号(-)に置き換えて理解できることを確認していってください。

The doctor failed to cure her of cancer.
This medicine will relieve you of the pain.
I cleared the table of the plates.

 このような動詞と前置詞の組み合わせは、TOEICのParts 5/6では頻出ポイントの一つになっています。ただし、こういった知識は、何も穴埋め問題を解くためだけに重要であるわけではありません。
 実は、reading speedを上げるためにこそ、このような動詞と前置詞の組み合わせの知識はとても大切なものです。速読力をつけるためには、日本語訳をするために「返り読み」をするクセを修正する必要があります。英語は英語のまま、左から右に読んでいくことを目指してください。
 とは言え、そう言われてもこれはEasier said than done(「言うは易し、行うは難し」)ですよね。でも、今回学習したような動詞と前置詞の組み合わせの知識がストックとして蓄積されていくと、読解がグッと楽になっていきます。たとえばcureだったら、後ろにofが続くかもしれないということを予期しながら読んでいくことが可能になるからです。そうすると、英語が英語のまま自然に処理できるようになります。結果的に速読力がアップします。

 そのような能力は、リスニングでも重要になります。リスニングでは「返り読み」ができませんから、よりいっそうこのようなテクニックが重要になります。
 というわけで、今回はリスニングの授業で出てきたポイントから、語法の知識を整理していったわけですが、また話はリスニングに戻ってきました。そうなんです。英語は一つ。どの項目を学習していても、繋がっているのだということを日頃から意識するようにしてください。
 寒くなってきましたが、残り2回の授業もがんばりましょう。
 

(写真は法政多摩キャンパス バスターミナル前のイルミネーションです)