会社名についているIncorporatedやLimitedって何のこと?

 今週のエッセンスの教材には(に)多くの会社名が出てきました。TOEICの問題に含まれる会社名や学校名は架空のものです。仮に実在する名前が出てきたとしても、偶然の(accidental)一致にすぎません。
 今回のPart 7の場合、Altek Solutions, IncorporatedFaraway Travel Limitedといった企業名が登場していましたね。
 生徒さんからいただく質問でよくあるのが、このような会社名に添えられるIncorporatedやLimitedの意味と違いです。これらはよくInc.とかLtd.というふうに略されます。
 実は、これは僕自身にとって大きな謎でした。辞書を引いたり、ネイティブ講師に質問したり、用例を検索したり、といったことはやってきたのですが、なかなかしっくりくる答を得ることができなかったのです。生徒さんのご質問にも辞書的な説明程度しかできなくて、心苦しく思ってました。
 2,3年前にそんな迷える子羊を救済してくださったのが、日向清人さんによる「ビジネス英語雑記帳」の以下の記事です。

Co LtdとIncの意味の違い

http://eng.alc.co.jp/newsbiz/hinata/2005/07/co_ltdinc.html

 この記事の中で、日向さんは次のように説明されています。

両方とも、会社が破綻しても、構成員(法律上は「社員」と呼ばれる出資者や株主のこと)は出資額をあきらめれば済み、それ以上の責任は負わなくてもいい会社であることを示していますが、Co. Ltd.はそのことを社員の責任はどうなのだという視点から言っているのに対して、Inc.の方は構成員とは別個独立の法人格を有する会社としての責任という視点から言っているだけの違いです。

たとえばかつて山一證券は負債を抱えて倒産しました。その際に株式は紙切れとなってしまいましたが、株主が出資額を超えて負債を引き受けることは要求されませんでした。このような株主や出資者の「有限責任」という同じことを、違う角度から明記しているのが(Co.) Ltd.やInc.なわけですね。なるほど、納得です。
 「ビジネス英語雑記帳」は、全ての成人英語学習者におすすめしたいブログです。僕は、いつも心に「ガッテン」ボタンを用意して読んでます。ときおり掲載されるTOEICなどの資格試験についての批判的考察もたいへん興味深いです。