エッセンス Set T10 Part 7 (11月17日〜21日)フォローアップ

 お疲れさまです。
 今回のPart 7はかなり難しかったですね。平均点も、普段より低めでした。特に、本文の内容をパラフレーズした選択肢が正解になる問題が難しかったようです。また、Q169のように、本文から推測(infer)して答えなければならない問題もありました。
 「え? こんな言い換え表現が可能なの? やっぱり英語は難しいなあ」と考えると「英語嫌い」になりがちです。それよりは、「あ、英語ってこんなに豊かな表現をもった言語なんだ。今日も自分の中のストックが増えてよかった!」と考えてください。自分が英語のことを好きになると、英語も こちらを好きになってくれます。愛です。
 では、今回の問題文の中から、TOEICで頻出の文法ポイントをいくつか紹介させていただきます。

前置詞のtoを含む慣用表現

p. 1のletterには、次のような箇所がありました。

In addition to overseeing a team of software programmers…

ここで、toの直後に注目してください。overseeingというふうに、動名詞になっていますよね。このtoは、不定詞ではなくて前置詞のtoなんです。前置詞は、「名詞の(コトバ)」なので、toの後ろには動詞の原形ではなく動名詞を置く必要があります。in addition to ~ingで「〜することに加えて」という意味になります。次の例が間違いであることを確認してください。

× In addition to oversee a team of software programmers…

 また、同じp. 1のレターには、次のような文もありました。

I look forward to discussing this employment opportunity with you in person.

look forward to 〜ingは「〜するのを心待ちにしている」という慣用表現ですね。この場合のtoも前置詞なので、直後にdiscussingという前置詞が置かれていることを確認してください。
 ではここで、この前置詞のtoを含むその他の慣用表現をチェックしておきましょう。

object to 〜ing 「〜することに反対する」
Mr. Zizek objected to launching the new product in the Beijing area.


What do you say to 〜ing 「〜しませんか」
What do you say to taking a lunch break?


with a view to 〜ing 「〜する目的で」
With a view to strengthening the alumni network, the University opened a new office in New York.


be devoted to 〜ing 「〜することに専念している」
Ms. Butler has been devoted to promoting diversity in business organizations.


be used to 〜ing 「〜することに慣れている」
The lawyer is not used to dealing with criminal cases.

 いかがですか? ぜひ、例文を声に出して読んでみてください。

知覚動詞の語法

 Q199の(D)は、次のようになっていました。

(D) Observing craftspeople making products

 observeは「見学する」という意味で、知覚動詞と呼ばれているものの一つです。知覚動詞というのは、「見る」「聞く」「感じる」といったような、人間の知覚を表す動詞グループのことです。

知覚動詞


see, watch, look at, hear, listen to, observe, notice, perceive, feel

 このような動詞は、第5文型(SVOC)を取ります。例文を見てみましょう。

I saw Ms. Kim leave the room.


I (S) saw (V) Ms. Kim (O) leave the room (C).

このようなSVOCの構文では、OとCの間に主述の関係が成り立っています。
 というとなんだか難しくなってしまいますが、要するに「OがCする」という主語と動詞の関係があるということです。上の例文では、Ms. Kimがleaveするという関係が示されているわけですね。
 さて、この知覚動詞については、C(補語)のカタチが重要です。Cには、動詞の原形現在分詞(〜ing)過去分詞(〜ed)を置くことができます。で、TOEICのPart 5では、この補語の部分が空欄になっている問題が出題される可能性があります。たとえば、次のような問題です。1問30秒でやってみてください。

1.
The businessman did not notice the alarm ------, as he was too preoccupied with the report.
(A) to go off
(B) go off
(C) gone off
(D) goes off


2.
The businessman did not notice his name -------, as he was too preoccupied with the report.
(A) to call
(B) calling
(C) called
(D) calls

 いかがですか? 
 このような問題で まずチェックするのは態です。「O(目的語)がCする」という能動の関係があるか、「OがCされる」という受動の関係があるか を確認してください。

OがCする   → Cは動詞の原形
OがCしている → Cは現在分詞(〜ing)


Oがされる  → Cは過去分詞(〜ed)

 では、まず1番から答え合わせをしましょう。「alarm(警報)がgo offするのか / されるのか」をチェックします。go offは「鳴る」という意味ですから、ここでは「警報が鳴る」という能動の関係が成り立っていますね。したがって、原形(B)が正解です。*1
 これに対して、2番はどうでしょうか? Oはhis nameですね。「his nameがcallするのか / されるのか」をチェックします。「名前が呼ばれる」という受動の関係がありますよね。ですから、過去分詞(C)が正解です。
 では、先ほどのQ199 (D)をもう一度見ておきましょう。

(D) Observing craftspeople making products

はい、ここにはcraftspeople「工芸家」が製品を製作しているという能動の関係がありますね。
 いかがですか? 今回はPart 5形式の例題を見ましたが、この知覚動詞の語法は、Part 7対策でも重要です。というのも、このような知識をつけることによって、英文の骨格が見えるようになるからです。結果的に速読力・理解度がグンと高まります。英語を、英語の語順のまま処理するためのシステムが脳内に構築されていくんです。そして、そのようなシステムが育ってくれば、返り読みのできないリスニングも楽になっていきます。
 「無味乾燥な文法」として敬遠するのではなく、英語力を総合的に高めていくためのツールの一つとして、この知覚動詞のルールをマスターしてください。




*1:なお、goは自動詞なので、受動態にはなりません。