『スティーブ、今夜スシバーにご案内しましょう』をご案内します

 英語学習、やり方はいっぱいあります。これについては専門家の間でも対立や論争が尽きません。「正解」はないのかもしれないですね。
 けども、一つだけハッキリしていることがあります。
 時間をかける必要があるということです。しかも継続的に
 皆さんは、毎週の学習時間の目標を設定されていますか? そしてそれを実行できているでしょうか?


 TOEICで高得点を取るためには、目的意識を明確にして、英語学習の時間をスケジュールに組み込んでいく必要があります。ただし、そもそも自分の自由に使える時間は限られている。その中から「英語の時間」を切り取ることになります。
 ……けれども人生って、なかなか思い通りに行かないこともありますよね。どうしてもやる気がおきなかったり、集中力がもたなかったり。
 英語との付き合いにも、倦怠期はあるかもしれません。けれどもそこで別れちゃうのはもったいないです。何らかの形で関係を保っておけば、またトキメク瞬間が訪れるかもしれません。
 そういう時にオススメしたいのが、ベツバラEnglishです。


 たとえば僕は、3月末に善福寺公園で花見をしました。寿司や生ハムその他おつまみやビールやビールやビールやビールやビールや日本酒などを持ち寄って宴会です。
 


 たらふく食べて、ほろ酔い加減。満腹、満腹。もう何も食えません。これ以上食べ物はいらない!
 で、そのあと近所の友人宅にお邪魔したのですが、コーヒーとお菓子を出してくれました。
 まだ満腹。そしてもちろん、僕はお菓子をおいしく食べました。「別腹」だからです。


 って話が逸れましたね。でも、英語学習にもこうした「別腹」的なアクティビティを入れてみるのもいいかなと思います。英語の小説を読んでみる。英語の雑誌を買ってみる。英語で歌ってみる。映画を字幕なしで観てみる(映画って、セリフが聞き取れなくてもけっこう楽しめますよ)。
 「お勉強モード」で集中的にトレーニングすることももちろん大事です。というか絶対に必要です。ただ、それを挫折せずに続けていくためにも「楽しむ」ものとして取り入れていきたいのがベツバラEnglishの時間です。


 素材は英語なら何でもOKとしましょう。しょせんベツバラですから、栄養成分を分析するよりも、楽しめそうなもの、ついつい手を出したくなるようなものを選べばいいのです。


 で、今日はその一例として、神崎正哉さんの『スティーブ、今夜スシバーにご案内しましょう』を紹介します。
 神崎さんはエッセンスイングリッシュスクールの同僚講師です。TOEICについての著作もたくさん出してます。
 けど本当は、神崎さんはTOEIC以外のことについて語っているときすっごく楽しい人です。その彼が、TOEICという言葉を一切含まない本を、ご友人のダニエル・ワーリナさんと共に出しました。それがこれです。

スティーブ、今夜スシバーにご案内しましょう

スティーブ、今夜スシバーにご案内しましょう


 神崎さんは実は料理人でもあって、3月のTOEIC Blitz Radioでは、接続がうまくいかなくてPCを再起動している間にすばやく山盛りの刺身を切ってくれました。
 表紙の内側にはこんな口上があります。

クールな
ニッポンの「食」を
英語と日本語の対訳で読む。


自然な会話表現を
CDで聴く。


「食」は楽しい
「食」は話しやすい
「食」は役立つ
   
だから英語の力が伸び、
誰かに話したくなる!


 いきなり楽しそうですよね。で、実際楽しいです。
 CDには、日本人(役のネイティブ)が外国人に日本の食文化について説明する会話が紹介されています。たとえばこんな感じ。

Naomi: How about shabu-shabu tonight, Steve?


Steve: "Shaba" what?


Naomi: Shabu-shabu. Your trip to Japan isn't complete until you've tried shabu-shabu. C'mon, I know a great shabu-shabu restaurant in Ebisu.


 このあと二人は恵比寿のしゃぶしゃぶ屋に移動して、会話が続きます。
 TOEICのPart 2やPart 3に比べると、声優さんたちも感情を込めて楽しみながらやってる感じです。すっごく聴き取りやすいイギリス英語も一部登場します。あと、天ぷらを揚げる音とか、アメ横の喧騒だとか、乾杯の音とか、効果音が入ってます。
 本にはスクリプトに加えて、重要語句リストがついています。affordable(お手頃な)のようなTOEIC定番語彙もさりげなく入ってたり……。
 英語コラムも充実しています。寿司はもちろん、懐石料理から豚カツ、冷凍食品にカルピスまで、色んなトピックがあって飽きません。余計な文法解説は一切ないので、リラックスして読み進めることができます。日本食がメインテーマとは言え、知らないことがいっぱい書いてあって、僕は好奇心を刺激されました。


 焼き肉をたらふく食べた帰りについついコージーコーナーに寄ってシュークリームを買ってしまうように、この本を活用すれば楽しく「別腹」に英語を入れていくことができます。ぜひ、とりあえず書店でパラパラとページをめくってみてください。よだれが出てくるかもしれません。